佐藤琢磨のチャンプ獲得に黄信号も、インディ王者争いはまだ大混戦 (2ページ目)

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano 松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 この2人が苦戦するなら、チャンスはポールポジションを獲得したウィル・パワー(チーム・ペンスキー)にあると思われた。スタートでトップの座を保ったパワーは、そのままレースのイニシアチブを握っていたが、13周目にニューガーデンが大胆かつ鋭いオーバーテイクを仕掛けてトップが入れ替わる。

 すぐにパワーが逆襲するかと思われたが、若手チームメイトのペースは段違いに速く、キャリア31勝のパワーをもってしても全く歯が立たなかった。ピットストップを行なっても、タイヤを替えても、リスタートを切っても、ニューガーデンは瞬く間に差を広げ、ゴールまで突っ走った。パワーにとっては思いもよらない完敗だった。

 2週間前のトロントで超ラッキーな勝利を挙げたニューガーデンは、「今日の優勝には誰も文句はつけられないだろう」と笑い、「真っ向勝負を行なったうえで、僕らは勝利の栄冠を掴んだ」と胸を張った。傲慢ではなく、謙虚すぎることもなく、適度に強気なニューガーデン。チーム・ペンスキー移籍初年度で、いきなりチャンピオンという可能性も出てきた。

 7点差でランキング2番手につけるのは、第11戦アイオワで約3年ぶりの勝利を飾り、他のレースでもコンスタントに上位フィニッシュを重ねている42歳のエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)。ランキング3番手は5度目のタイトルを狙うディクソン、4番手はパジェノー、5番手はパワーと続く。

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