W入賞のF1ホンダを数値化すると、ライバルとのマシン性能差が見えた (5ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 マシンのアップデートが着実に進んでいることも、それを後押ししている。

 第4戦・ロシアGPを終えた時点でトップのフェラーリから1.25秒(1周1分33秒のサーキットで1.34%)離されていた車体性能差は、第11戦・ハンガリーGPでは0.6秒(1周1分16秒のサーキットで0.78%)まで縮まってきた。また、第5戦・スペインGPと第6戦・モナコGP、そして細かな改良を経てハンガリーGPでさらに大きなアップデートを投入したことで、MCL32の車体性能は格段の進歩を見せている。

「今回は3段式のTウイング、リアウイングのモンキーシート、ディフューザーなど大きなアップデートを持ち込んできた。それらはすべてきちんと機能しているし、車体の改良はうまく進んでいると言えるだろう」(モリス)

 それに加えて、ホンダも第9戦・オーストリアGPから実戦投入してきたスペック3でライバルとの差を縮めてきた。

 実際のところ、オーストリアでもイギリスでもQ3に進み、入賞するチャンスは十分にあった。結果に結びつかなかったのは、スタート直後のアクシデントやピット戦略ミスなどがあったからで、ハンガリーGPで急に速くなったわけではない。

 ホンダの長谷川祐介F1総責任者は言う。

「ホンダとしては、スペック3でようやく開幕時点にあるべきだった位置まで追いついた、スタートラインに立ったレベルです。スペック3が入ってからは、オーストリアでも十分にチャンスがあったはずなのにポイントが獲れなかったし、イギリスもそれなりにいいペースだったのに獲れなかった。だから今回は絶対に結果につなげなければならなかったし、実力を遺憾なく発揮して、いい結果を掴み取ってくれてよかったと思っています」

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