W入賞のF1ホンダを数値化すると、ライバルとのマシン性能差が見えた (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

マクラーレンMC32はハンガロリンクの特性にも合っていたマクラーレンMC32はハンガロリンクの特性にも合っていた メルセデスAMGのワークスパワーユニットは予選Q3でさらにパワーを引き出しているという説もあり、それを考慮すれば前出のエンジニアの発言のように、ハンガロリンクではマクラーレンMCL32の車体はメルセデスAMG W08と同等だったという見方もできるようだ。ただし、前出のエンジニアが「今週のメルセデスAMGはタイヤの扱いに苦労していた」と語るように、それが本来の速さとは言い切れない部分もある。

 ハンガロリンクでメルセデスAMGが遅く、フェラーリが速かったのにはもうひとつ理由がある。空力効率うんぬんよりも、車体が持つ最大ダウンフォース量が問われるサーキットだったということだ。

「過去2戦のレッドブルリンク(第9戦)やシルバーストン(第10戦)は最大ダウンフォース仕様ではなく、空気抵抗を抑えながらダウンフォースをつけて走るサーキット。パワーがあれば(最高速は犠牲にすることなく)そのぶんだけ空気抵抗が増えても構わないから、それだけダウンフォースをつけることができる。しかし、モナコ(第6戦)やハンガロリンクはマックスダウンフォースだから、ダウンフォース量があればあっただけ速く走ることができる」

 つまり、ただ全開率が低いとかストレートが短いというだけではなく、空力効率よりも最大ダウンフォース量が問われるコース特性がMCL32にとって大きな追い風になったのだ。その点でMCL32はライバルたちから大きく引き離されてはいない。

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