「SUGOの魔物」にホンダが飲み込まれ、昨年GT王者が乱戦を制す (4ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

「ベストなタイミングでピットアウトし、以降は46号車との一騎打ちでした。タイム差をコントロールしながら逃げましたが、最終ラップの1コーナーでのバトルは厳しかったですね。それを何とかかわして『これで勝った!』と思ったんですが、最終ラップになってパラついていた雨量が増えてきて。早めにブレーキングしたんですが、滑って姿勢を乱してしまいました」

 平手はレース後、最後の最後まで気が抜けなかった自身のスティントをこう振り返った。

 今回の1号車の勝利は、ピットのタイミングや最終ラップの攻防などで運が味方したのも事実だろう。しかし、彼らはただラッキーだけで勝ったのではなく、開幕戦から見せてきた「王者らしい強さ」があったからこその勝利でもあったように思える。

 コバライネン/平手組は昨年チャンピオンを獲得したものの、今シーズンは開幕から細かいところで歯車が噛み合わず、第1戦・岡山の予選ではコバライネンのミスもあって予選Q1敗退。決勝では3位表彰台を獲得するも、昨年王者として満足できる内容ではなかった。

 第2戦・富士でも序盤はトップ争いを繰り広げたが、コンディションと選んだタイヤがうまくマッチせずに7位。さらに第3戦・オートポリスでも、トップ奪還まであと少しと迫っていたところでau TOM'S LC500(ナンバー36)と接触し、スピンしてリタイアとなる。速さはあるのに、それがなかなか結果につながらない......。今シーズンは彼らにとって、歯がゆいレースが続いていた。

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