「SUGOの魔物」にホンダが飲み込まれ、昨年GT王者が乱戦を制す (3ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

 これに似た状況を避けるため、1号車は1周多く走行してから47周終わりでピットイン。すると、この直後にまたアクシデントが発生し、3度目のセーフティカー導入となった。

 これが、レースの勝敗を分けた瞬間だった。

 スーパーGTのルールでは、セーフティカー先導中はクラスごとに隊列を整理する。このときに同一周回のマシンは、トップのすぐ後ろに並ぶことができるのだ。その結果、1号車は前の周にピットに入った6号車をはじめとする集団を周回遅れにした形で逆転し、しかもピットインせずに先行していた3台には周回遅れにされずに直後につけるという絶好のポジションを得た。彼らはこのあとピットインを行なわなければならないため、特にレース前半で好走していたホンダ勢のNSX-GT2台には不運としか言いようがない。これにより、1号車とS Road CRAFTSPORTS GT-R(ナンバー46)が有利な展開となり、レース後半は彼らの一騎打ちの戦いとなった。

 コバライネンからバトンを受け取った平手晃平は、今季初優勝に向けて後続を振り切ろうとするが、追いかけてくる46号車はGT500で3度チャンピオンに輝いている本山哲がドライブ。SUGOラウンドでの優勝をかけたバトルは最終ラップまで続くことになる。最後は突然降り出した雨の影響で2台ともコースオフし、接触するシーンもあったが、なんとかトップを守りきった1号車が先にチェッカーフラッグを受けて今季初優勝を手にした。

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