エアレース第5戦でまさかの大惨敗。
室屋義秀の心身に何が起きたのか

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by red bull

 もちろん、年間総合優勝という目標達成のためには、今回の第5戦で0ポイントに終わったことはあまりに痛い。

 室屋は「年間8戦のうち、2戦くらいはこういうことがあると想定しているので」と冷静に結果を受け止めてはいるが、「年間総合優勝するために重要なのは、安定して飛び続けること」であるのも、また事実。第5戦終了時点で0ポイントのレースが2戦もあることは、やはり目標達成のためにはかなりの痛手である。今季残すは3戦のみ。これから先は、ひとつのミスが取返しのつかない致命傷となりかねない。

 とはいえ、室屋が自身に起きている異変に気づくきっかけになったとすれば、今回の惨敗も決して無駄ではなかった。幸運にも、ポルトガル・ポルトで開かれる今季第6戦までは、1カ月以上のインターバルがある。今回のレースで払った大きな代償を取り戻すためには、この1カ月間を存分に有効活用しなければならない。室屋が語る。

「このところ忙しくて、フライトトレーニングが減っているところもあったので、そこはしっかりとやりたい。この後、ちょっと間が空くので、十分な休養を取ることも含めて、フィジカル的にもメンタル的にもいいセットアップができればいいなと思う」

 理由はともあれ、今の室屋にサンディエゴで他を圧倒した強さが見られなくなっていることだけは間違いない。年間総合優勝へ向け、ここをどう乗り切るか。今がまさに正念場である。

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