ザウバーとは決裂。「トロロッソ・ホンダ」誕生がマジで秒読み段階へ (7ページ目)

  • 米家峰起●取材・文・撮影 text & photo by Yoneya Mineoki

 レッドブルは以前から、F1への投資をワークスチームであるレッドブル・レーシングに集中させて効率化を図りたい意向を持っており、トロロッソからは段階的に手を引きたがっていた。2015年後半には実際にホンダとの間でパワーユニット供給に関する話し合いを持ち、テクニカルディレクターのジェームズ・キーなど両社のエンジニアが集まって設計図を引くところまでいっていた経緯もある。

 その際にはマクラーレンのロン・デニス前CEOの反対に遭い実現しなかったが、ザウバーへの供給に向けてミルトンキーンズの前線基地のリソース拡大など準備を進めてきた今のホンダにとっては、ザウバーとの提携消滅となれば、トロロッソへの供給も十分に対応できる。レッドブルからの出資が縮小すれば、ホンダが望むドライバーを起用することも可能となる。

 すでに第2の供給先との話し合いはスタートしているようで、ザウバーとの提携解消が決まれば、話はトントン拍子に進む可能性も高い。いずれにしても2018年型マシンの設計を考えれば、時間的余裕はそれほど残されてはおらず、合意と発表は近いうちに行なわれることになりそうだという。

 F1界では何が起こっても不思議ではない。さまざまなプレーヤーたちの思惑が複雑に絡み合ったその瞬間の政治力学によって、事態は思わぬ急展開を迎えたりもする。そのなかで押し流されてきたのが今までのホンダだったが、これからは自らの意志で泳ぎ切ってみせる。今のホンダからはそんな強い決意が見え隠れしてきている。

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