ピットに「滑り込みセーフ!」。インディ界の「幸運男」が今季2勝目 (3ページ目)

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano 松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 予選でのパフォーマンスアップが課題となったニューガーデンは、レッドで走るレースの序盤も、先輩チームメイトたちに差を見せつけられた。彼らとレイホールがトップ集団を形成し、ニューガーデンを引き離していった。ところが、それが幸いしてしまうのだからレースは不思議である。

 高い実力があっても勝ち星に恵まれないドライバーがいる一方で、こんな幸運によって勝つケースもある。実はトロントではこのパターンが結構多く、去年はブッチギリの速さだったスコット・ディクソンが、ピットタイミングの差でパワーに敗れている。2015年も、予選11位だったドライバーが、やはりイエローの出たラップにタイミングよくピットインして優勝した。そのドライバーがニューガーデンだ。

 同じルールのもとで戦っているのだから、勝つ、あるいは上位フィニッシュするチャンスは出場者全員に公平に与えられている。イエローが出るとピットがクローズになるのは、ドライバーやコースマーシャルたちの安全確保ももちろんだが、レース展開に運が大きな影響を与えないようにするのも目的だ。だが、イエロー下ではスピードダウンが義務付けられるので、ピット入り口の近くをタイミングよく走っていた者がいち早くピットインして大きな恩恵を受けるケースが起こり得る。今回のニューガーデンがまさにそのパターンだった。

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