すべてはスペック3の実力次第。第9戦にホンダF1の命運がかかる (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 ただし、ポテンシャルが低かったから旧型に戻した、というのは間違いだ。冒頭のEFE通信に対する「最後尾と後ろから2番目」も間違いで、実際にはスペック3で走った金曜フリー走行で、アロンソはクリアラップが取れなかったにもかかわらず12番手のタイムを記録している(旧スペックで戦った予選は16位、ペナルティのため決勝は19番グリッド)。

 ホンダは前戦アゼルバイジャンGPにスペック3を1基だけ間に合わせ、金曜フリー走行で走らせてセッティングの煮詰めを行なった。当初は確認のために金曜だけで下ろす予定だったが、想定どおりにパワーアップが果たせていたことと、想定以上のスムーズさでセッティングが進んだことで、土曜以降も実戦使用を継続する手筈が整いつつあった。だが、その矢先にギアボックスが壊れてしまい、パワーユニットにダメージを与えた可能性が危惧されたため、安全を見越して土曜日以降はスペック2に戻すことにしたのだ。

 では、スペック3の実力とはいかほどのものなのか?

 一部では「30馬力アップ」などと報じられてもいるが、これは明らかに間違いだ。

 ホンダは馬力での数値は明らかにせず、公式的に「0.2~0.3秒の向上」という表現にとどめているが、長谷川祐介F1総責任者は「ルノーが0.2秒っていうなら、ウチは0.3秒ってことにしておきましょう」とアゼルバイジャンでは0.3秒の向上を果たしたことを明言している。

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