マルケス完勝も、新人フォルガーが地元ドイツGPの主役をかっさらう (4ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 マルケスが際立った能力を発揮して、追いすがろうとするフォルガーを最後にきっちりとあしらったことが、このコメントからもよくわかる。また、イチかバチかの勝負を仕掛けられることを避けるために、残り5周でスパートをかけて突き放す戦略の賢明さも、ふたりの言葉を比較すればさらに浮き彫りになる。これは結果論になるが、1コーナーのミスでマルケスと離れてしまったことは、フォルガーにとって冷静さを取り戻すよいきっかけになったのかもしれない。

 開催国出身ライダーの活躍は、地元ファンを喜ばせる。それはもちろんだが、彼らの喜びと興奮は第三者にも好感を与える。その意味では、第9戦の主役のひとりは、間違いなくヨナス・フォルガーだった。

 そして、本来の主役級たちの位置取りは、冒頭に述べたとおりマルケスがランキング首位に浮上。5点差でマーベリック・ビニャーレス(モビスター・ヤマハ MotoGP)、その1点背後にアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ・チーム)、さらに4点開いてバレンティーノ・ロッシ(モビスター・ヤマハ MotoGP)が続き、その16点後方にペドロサと続く。マルケスからペドロサまでの差は26点。誰かが転倒ノーポイントを喫すれば、形成は一気に逆転する。

 シーズン前半の9戦を終えた彼ら5名のチャンピオン争いは、この"緊密な白紙状態"を維持したまま、8月上旬にふたたびゼロからスタートする。

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