マルケス完勝も、新人フォルガーが地元ドイツGPの主役をかっさらう (2ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 今年のレースウィークは、太陽の照る好天の下でセッションが行なわれたことが一度もなかった。ドライコンディションを維持したとはいっても、どんよりとした曇り空で、温度条件は総じて低かった。そして、土曜午後には本降りの雨になった。そのウェットでもドライでも、マルケスはトップタイムを記録して、当然のようにポールポジションを獲得。ペドロサもマルケスにこそわずかに及ばないものの、安定した高水準の走りでフロントロー3番グリッドを獲得し、ホンダ勢の強さを印象づけた。

 このようなセッションの流れを経て、日曜午後を迎えたことを考えると、フラッグトゥフラッグでマシンの乗り換えなどが発生しないかぎり、驚くような展開になることはおよそ考えられそうになかった。そんな状況下でも、30周の戦いを皆が固唾を呑んで見守ったのは、地元ドイツ出身の最高峰クラスルーキー、ヨナス・フォルガー(モンスター・ヤマハ Tech3)が大活躍したからだ。

 予選5番手のフォルガーはレース序盤からマルケスとペドロサにピタリと張りついて、周回を重ねた。その姿に、ドイツ中のファンは大いに沸き立った。フォルガーはペドロサをオーバーテイクしてマルケスの背後に浮上。レース後にペドロサは「その瞬間は『ん?』と思った」と、予想外の選手が優勝争いに割って入った驚きと奇妙な戸惑いを、端的に表現した。

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