3連勝より、あえて3位。エアレース室屋義秀がポイント単独トップに (5ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by red bull

 今後の展開を見通し、室屋は「今回、マティアスをラウンド・オブ・14で倒せたのは大きかったし、ここからはマルティンと一騎打ちになってくるんじゃないか」と語る。それを考えれば、ここで確実に9ポイントを"拾った"ことは賢明な判断だった。急がば回れではないが、浮き沈みを最小限に抑え、こうしてポイントを重ねていくことが、年間総合優勝への近道になるのだろう。

 しかし、そうした理屈は承知のうえで、それでも3連勝のチャンスだったのだ。しかも、ラウンド・オブ・8までの流れは完全な勝ち試合。せっかくのチャンスを自らフイにする決断を下したことに、少なからず後悔はないのだろうか。

 最後にそんな疑問をぶつけると、室屋はまったく気にするそぶりもなく、笑顔で語った。

「また1勝目からやり直せばいい」

 楽しみは先に取っておこう。ひとつずつのレースを確実に重ねていけば、再びチャンスは巡ってくるに違いない。そう納得させられるほど、この日の室屋は、3位という結果以上に強かった。

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