3連勝より、あえて3位。エアレース室屋義秀がポイント単独トップに (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by red bull

 予選1本目ですでに十分なタイムを残しながら、2本目でさらにそれを縮めてみせた室屋。誰の目にも、コンスタントにタイムを残せる状態にあるのは明らかだった。

 翌日のラウンド・オブ・14では、室屋はいきなり昨季の世界王者、マティアス・ドルダラーとの対戦を強いられた。ドルダラーが予選でオーバーGを犯し、13位に終わったことで生まれた好カードだったのだが、もはや今の室屋にとって、これまで何度も苦杯をなめさせられてきたドルダラーですら、臆する相手ではなかった。

「あの(59秒台の)タイムを見れば、マティアスは全開で行かざるを得ないし、またオーバーGする可能性は結構あるだろう」

 予選を終えた時点で、室屋はそんなことを話していたが、結果は見立て通りのオーバーG。まさに室屋の思うツボだった。

 先に飛んだドルダラーがオーバーGによるDNF(ゴールせず)に終わったことで、室屋はフィニッシュさえすれば、ラウンド・オブ・8進出が決まる状況となった。しかし、室屋はそれでもなお、さらに自らの強さを誇示するかのように、圧巻のフライトを見せつけた。

 室屋が記録した1分00秒572は、ラウンド・オブ・14全体でもトップとなる圧倒的な好タイム。かつての絶対王者にして、現在はレッドブル・エアレースの解説者を務めるポール・ボノムをして、「無理をしなくても、スムーズに飛べばタイムを出せる状態にある」と言わしめる日本人パイロットは、オーバーGの危険性を排除しても、トップタイムを出せるだけの余裕を残していた。

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