3連勝より、あえて3位。エアレース
室屋義秀がポイント単独トップに

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by red bull

 せっかく"ハットトリック"に近づいたのにね――。

 レース後の記者会見で、室屋義秀にそんな言葉が掛けられたことからも分かるように、「室屋の3連勝なるか」が、今回のレースにおける大きなテーマとなっていたことは間違いない。

3戦連続で表彰台に上り、年間ポイントで単独首位に立った室屋3戦連続で表彰台に上り、年間ポイントで単独首位に立った室屋

 ハンガリーの首都、ブダペストで行なわれたレッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ第4戦。結論を先に言えば、室屋は3位に終わり、第2、3戦に続く3連勝を逃した。要するに、注目を集めた偉業達成はならなかったわけだ。

 それでも3戦連続の表彰台は、室屋にとって初めて。またひとつ、優勝とは別の形で強さを示した一戦になったと言っていいだろう。

 まず、他のパイロットたちに、「室屋強し」を印象づけたのは、予選のフライトだったのではないだろうか。

 予選の最後に飛んだ室屋は、1本目で1分00秒912を記録し、早くも2位につけた。だが、トップのピート・マクロードとのタイム差は、まだ1秒以上もあった。それほど、マクロードが残したタイム、59秒508は(その時点では)図抜けていた。

「このままならピートがぶっちぎりになってしまう。彼を安心させたまま、終わらせるわけにはいかない」

 そんな想いで臨んだ2本目のフライト。室屋は先をいくマクロードの尾翼に指先で触れるがごとく、0.442秒差まで迫り、この予選でマクロードと2人だけとなる59秒台(59秒950)のタイムを叩き出した。

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