ザウバーCEO電撃解任で混乱。ホンダは「金づる」になってはならない (5ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 しかし、チームオーナーのロングボウと一心同体であるエリクソンが親しい関係者に語ったところによると、決定を急いでいるという後任はコレスではないという。

 ロングボウに資金的に十分なバックボーンがあるならば、整理屋であるコレスに頼る必要などなく、チーム運営経験のある人物を起用して後任に据えればよい。逆にコレスを起用するということになれば、それ以上のまともなチーム運営維持をあきらめた、というのと同じことだ。

 そんな集団があの手この手で資金を引き出そうと条件を提示してきたとしても、ホンダとしては相手にする必要はない。後任人事によっては2018年供給契約の白紙撤回もあり得る――というのは、そういうことだ。

 2009年末にBMWのF1撤退にともない、ペーター・ザウバーが私財を投げうってチームを引き取り運営してきたザウバーだが、度重なる財政難や人材流出の危機のなかでもどうにかチームとして存続してこられたのは、弁護士資格を持つカルテンボーンがその後を引き継いできたからだ。弁護士らしく弁論や行動では決して隙を見せないカルテンボーンだが、女性らしく慈愛に満ちた人でもあった。

5 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る