ル・マンのトヨタを襲った「早すぎる悪夢」。再び挑戦の1年が始まる (4ページ目)

  • 川喜田研●取材・文 text by Kawakita Ken 写真提供:トヨタ自動車 photo by TOYOTA

 これで下位カテゴリーのLMP2勢が上位を独占するという予想外の展開となったが、序盤のトラブルで大きく遅れていたポルシェの2号車が終盤にかけて猛スパートをかけ、レース終了1時間前に総合首位を奪還した。トヨタ勢で唯一生き残った中嶋、ブエミ、デビッドソン組のトヨタ8号車も猛追を見せたものの、こちらはポルシェ2号車の2倍となる約2時間にわたったピット作業の影響が大きく、9位でフィニッシュするのがやっとだった。

 結局、奇跡的な追い上げを見せたポルシェ2号車(ティモ・ベルンハルト、アール・バンバー、ブレンドン・ハートレー組)が優勝し、ポルシェはル・マン3連覇と通算19勝を達成。2位には、香港映画スターであるジャッキー・チェンがオーナーを務める、ジャッキー・チェンDCレーシングの38号車(ホー・ピン・タン、トーマス・ルーレント、オリバー・ジャービス組)、3位にバイヨン・レベリオンチームの13号車(ネルソン・ピケ・Jr、デイビッド・ハイネマイヤー・ハンソン、マティアス・ビッケ組)が入り、総合順位の2位、3位をLMP2クラスが占めるという、異例の表彰台となった。

 トヨタのGR開発部長で、ハイブリッドプロジェクトリーダーでもある村田久武氏は「この結果をどう受け止めますかと言われても、正直、今は受け止められない。来年頑張ってくださいと言われて、『はい、頑張ります』とは能天気に答えられない」と肩を落としながらも、こう続けた。

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