最大5G超。過酷すぎるブレーキングで今年のカナダGPは大変なことに (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 1周1分10秒ほどの間に、減速Gが4.5Gを超えるようなハードブレーキングが6回もある。ちなみに、乗用車で急ブレーキをかけたときの減速Gはせいぜい1G程度。つまり、体重60kgの人なら後ろから60kgの力で押されるくらいの衝撃だが、ジル・ビルヌーブ・サーキットでは1周70秒の間にその4.5倍以上の衝撃が6回も加わることになるのだ。

 フェラーリが使うブレーキメーカー「ブレンボ」のデータによると、もっともハードなのは最終シケインへのブレーキング。時速322km/hから時速148km/hまでわずか1.6秒(距離にして49m)で減速し、その間の減速Gは4.7G。ドライバーは161kgもの力でブレーキペダルを踏みつけるという。もうひとつのオーバーテイクポイントであるヘアピン(ターン10)のブレーキングでも、時速292km/hから時速68km/hまで2.44秒(距離63m)で、減速Gは4.5G。

 これらは2016年のデータであり、マシンのダウンフォース量と速さ、タイヤのグリップレベルが格段に向上した2017年は、さらにブレーキングは急激なものになると予想されている。あるシミュレーションによれば、最終シケインの減速Gは5.6Gにも達し、1周平均減速Gは昨年4.3Gだったのが、今季は5G超えもありそうだという。

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