全米が「インディ500勝者」と呼ぶ佐藤琢磨。年間王者に向けて激走 (4ページ目)

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano 松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 デトロイトのコースは他と違って、ソフト・コンパウンドのレッドタイヤよりもハードのブラックタイヤの方が、耐久性だけでなく、ラップタイムもいい。しかし、ルールでは、レッドとブラックの両方を使わなくてはならないと決められている。そこで、レッドで走る周回数を少なくしようとしたわけだが、フルコースコーションがほとんど出ないレース展開もあり、3ストップでゴールを目指さざるを得ず、上位フィニッシュを逃した。

 翌日曜日のレース2の予選で、琢磨はポールポジション(PP)を獲得した。2014年以来、通算6回目のPPだ。マシンのセッティングが決まり、ドライビングでも力を出し切った琢磨は充実感で表情も輝いていた。予選2位で琢磨の横に並んだのは、チームメイトのライアン・ハンター-レイだった。
 
 しかし、レースではまたしてもレイホールが強かった。琢磨は1回目のピットストップまでトップを守り切る堂々たる走りを見せたが、レイホールは琢磨がピットへと消えた翌周に思い切りプッシュ。ピットストップではクルーたちの作業も速かったため、琢磨のはるか前方へとピットアウトした。

 そこからの琢磨は背後に迫るウィル・パワー(チーム・ペンスキー)とバトルを展開。2014年のチャンピオンはデトロイトでも2勝の実績があるが、琢磨はつけ入る隙を与えずに周回を重ねていく。しかし、このレースで最後のピットストップで、琢磨はパワーにも先行を許した。

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