今度はドゥカティ。ドヴィツィオーゾが43年ぶり「完全イタリア優勝」 (3ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 優勝で25ポイントを加算した結果、年間ランキングでも首位を走るマーベリック・ビニャーレス(モビスター・ヤマハ MotoGP)に次ぐ2位に浮上した。だからといって「チャンピオン争いを目指す」というような浮き足立ったリップサービスをしないところが、この選手独特の性格でもある。

「今シーズンここまで速さを発揮できたレースもあったけれども、全18戦を戦いきるベース(セットアップ)はまだ十分ではない。1戦ごとに展開は異なるし、次戦(カタルーニャGP)のコースは完璧に特性が違う。グリップも低いし、路面状態もあまりよくなく、実際に去年のレースでは苦戦をした。どこまで自分たちの力を発揮できるかは、行ってみないとなんとも言えない」

 日々の取材でドヴィツィオーゾの話を聞いていて、いつも感心するのは、この落ち着いた慎重な姿勢だ。自分たちの状況はもとより、ライバル陣営や他選手の寸評でも、分析的かつ多角的に捉えている様子が、その言葉の端々ににじみ出る。もちろん、トップライダーといわれる選手たちは全員が優れた観察眼や冷静な分析力の持ち主だが、いいときも悪いときもけっして浮き足立たないこの沈着冷静さは、ドヴィツィオーゾならではの資質だ。

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