ファンの熱狂も後押し。まさかの連続で
室屋義秀がエアレース千葉を連覇。

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by red bull

苦しいフライトが続くも、思わぬ展開が続いて頂点に苦しいフライトが続くも、思わぬ展開が続いて頂点に 終わってみれば、室屋は表彰台の真ん中に立っていた。本人が「今日の勝利はラッキーな面がある。自分の力だけで勝ったんじゃない」と語ったように、まさかまさかの連続の末、手にした優勝だった。

 とはいえ、勝負の世界は紙一重。ラッキーもあれば、アンラッキーもある。

 例えば、昨年の第7戦(インディアナポリス)。室屋はラウンド・オブ・8でこれ以上ないスーパーラップを叩き出すも、対戦相手のドルダラーのペナルティが見逃され(と、室屋陣営は思っている)、あえなく敗退を余儀なくされた経験もしてきた。室屋が語る。

「日本のファンの声援が届いたのかもしれない。もちろん、ジャッジはそんなこととは関係なく、公正な判断をしているはずだが、本当に(ペナルティの)ボーダーライン上だったらどうか。会場の雰囲気が何かしらの力を働かせたかのではないかと思う」

 地元レースでいつもと同じ集中力を保って戦うのが難しかった一方で、地元レースだからこその後押しに助けられ、室屋は日本戦の連覇、そして今季第2戦に続く連覇を成し遂げた。この数日間、熱狂の中心にいた日本人パイロットが語る。

「長年、努力してきたのは事実なので、それに対してたまにはこういうボーナスがあってもいいのかな」

 表彰式を終え、優勝者として臨んだ公式記者会見では室屋にいつもの柔らかな笑顔と、ジョークを交えて周囲を笑わせる余裕が戻っていた。

 地元のヒーローがようやくプレッシャーから解放された瞬間だった。

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