ファンの熱狂も後押し。まさかの連続で室屋義秀がエアレース千葉を連覇。 (3ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by red bull

 地元のヒーローに熱狂するのは、ファンだけではなかった。

 レッドブル・エアレースでは通常、「ハンガーウォーク」と呼ばれる時間があり、予選と本選の両日ともメディア用に1時間、関係者やスポンサー、あるいは特別席のチケット購入者用に1時間が用意され、その時間内であればパイロットと自由に話(取材)ができる。

 だが、日本以外でのレースの場合、それほどメディアは多くなく、1時間フルに取材対応することになるパイロットはほとんどいない。スポンサーや関係者にしても、その数は知れており、むしろ持て余す時間のほうが長くなるのが普通だ。

 ところが、日本戦での室屋の場合、まさに2時間フル稼働することになる。

「普通のレースよりは大変。なので、申し訳ないなとは思いつつも、それ以外の時間はシャットアウトして自分の時間をはっきりさせないと、チームスタッフも含めてみんな自分の仕事に集中できない。例えば、関係者が来たからといってすべてに対応していると、ホントに1日中になってしまい、時間がなくなってしまう」

 そんなギリギリの状況で、しかもいつも以上に優勝が期待されるレースを前に、記者会見の場とはいえ、さすがの室屋も少し気が抜けてしまっていたのかもしれない。というより、わずかな時間でもスイッチを切っておかないと、集中力を持続させるのが難しかったのだろう。

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