「真のライダー」だったニッキー・ヘイデン。
ホンダ元監督が語る人柄

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 2010年を区切りに、山野は監督業務を終えてチームから離れるが、2014年にふたたびMotoGPのパドックへやってくる。この年から始まったMotoGPクラス内の「オープンカテゴリー」用として、ホンダが製作したRCV1000Rをプライベートチームにサービスするという業務だ。そして、そのマシンで参戦するチーム・ドライブM7アスパルに、このシーズンからホンダ陣営に復帰したニッキー・ヘイデンがいた。

「旧友に会ったような状況ですが、特に熱い抱擁を交わすようなこともなく、ごく普通に『やあ、ニッキー』という感じ。私としては、ずっと一緒にいるライダーという感覚でしたから。その後、去年の8耐にも私は関わっていたので、彼がMuSASHi RT HARC-PROから参戦してくれたときにも一緒に仕事をしました」

 その8耐終了後のパーティが、顔を合わせる最後の機会になった。

「パーティの時間に遅刻していたので急いでその場所に向かったら、ニッキーが会場の外にいたんです。急いでいたので、あ、ニッキーがいるなと思って声をかけて手を挙げると、向こうも挨拶を返してくれて、それが最後になりました。今から考えると、あのときにもっとゆっくり話をしておけばというのが残念ですが、でも、まさかそれが最後になるなんて思ってもいないですからね」

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