エアレース恐るべし。室屋義秀を支える
裏方たちも「凄腕パイロット」

  • 川喜田研●取材・文 text by Kawakita Ken

 また、ここ数年でレースのレベルが急激に上がり、今ではスピードも4、5年前とは比べものにならないほどアップしている。そのため、飛行ラインをあまり攻めすぎると、旋回中の重力が規定の10Gを超えてしまう。勝つための「攻めの飛行」をしながら、同時に「オーバーG」のペナルティを避けるのは、本当に難しくなっているという。

「とはいえ、エアレースで一番重要なのはパイロットのスキル。僕たちはそのスキルを最大限に発揮できる状況を準備するのが仕事ですから、勝つためにはパイロットとエンジニアがお互いを理解し合い、信頼関係を高めてゆくことが大切です。僕がヨシ(室屋)と一緒に戦うようになって今年で3シーズン目になりますが、ヨシは単にパイロットとしてのスキルが素晴らしいだけでなく、セッティングや戦術などの技術面の理解も深くて、機体に10カ所以上の変更を加えても、的確なフィードバックが返ってくる。おかげで、僕もレース・アナリストとして充実した日々を過ごしています」

 今シーズンのエアレースは、これまでになくチームやパイロットの実力が拮抗している。そのコンペティティブな戦いの中、地元日本でのレースで昨年に続く勝利を狙い、その先に「年間シリーズチャンピオン」獲得を目指す室屋の挑戦を、「空への情熱」と「信頼と友情」で結ばれた仲間たちが支えている。

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