驚異の集中力で予選5位。激走アロンソはインディ500で勝てるのか (2ページ目)

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano 松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 超高速で周回するオーバル走行というのは、ゆっくりとスピードを上げ、少しずつ慣れていく必要がある。だから、インディではルーキー・テストとは呼ばず、「オリエンテーション」という言葉を使う。

「左に曲がるだけのオーバル走行なんて簡単」と考える人は、レーシングドライバーでも少なくない。マンセルはインディ500の前のフェニックスで激しいクラッシュの洗礼を浴びたために、インディではかなり殊勝な態度になっていた。だがピケは、オーバル走行に十分な敬意を払わなかったため、インディでのプラクティスであわや両足を失いかけるほどの大事故を起こした。ミスを犯したときに、容赦ないのがオーバルなのだ。

 その点、先輩チャンピオンたちの経験に学んだのか、もともとの性格なのか、アロンソは最初からインディ500、オーバルレース、そしてインディカーシリーズに真摯に向き合っている。

 初テスト前にアラバマのサーキットに現れたときには記者会見を実施。集まったアメリカのメディアを前に、「みなさん、こんにちは」と挨拶してから質問に答え始め、「レースのトリプルクラウンと言われるF1モナコGP、ル・マン24時間、インディ500で勝ちたい」という夢を明らかにした。インディ初走行後の記者会見でも、アロンソは次々と浴びせられる質問に、実に丁寧に、率直に答えていた。

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