0.091秒差の勝利を生んだ「町工場のGT王者」
チーム土屋の準備力
「オートポリスでは、このクルマでレースをするのは初めて。一昨年は予選は走ったけど、決勝はトラブルで走れなかったですからね。ここはすごくGがかかるし、温度も高かったので、いろんな対策をしていました。
燃料ポンプに関しては以前も不具合が出ていましたし、前回のレースから2週間の間に燃料タンク内のポンプの取り回しを変更しました。また、ピットストップでもいつもより2秒多く給油していました。そこでピットでライバルに抜かれても(松井)孝允が抜き返してくれるだろうという信頼のもと、『もし壊れたら......』ということも考えて、わざと2秒多く給油しました。それがなければ絶対に勝てなかったです」
土屋監督は常々、「サーキットに入るまでの事前準備で、週末の流れがほぼ決まる」ということを口にしてきた。まさに準備段階で対策してきたことが、最後の最後に0.091秒差で逃げ切れた勝因につながったのだ。
昨年とは違う立場で勝ち取った予選ポールポジション、そして決勝での優勝――。ドライバー時代も25号車で何度も同じ結果を出してはいるが、土屋監督は「初ポールポジションだし、初優勝」という表現を強調していた。それだけ、今回の勝利は特別なものだった。
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