0.091秒差の勝利を生んだ「町工場のGT王者」チーム土屋の準備力 (3ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

 しかし、後方で待機しているドライバーのほうに振り向いたときは、「大丈夫!」といつもの穏やかな表情を見せていたのだ。

 これについて土屋監督は、「自分が精神的な柱にならなければいけないので、僕の表情を見て(ドライバーたちも)安心するだろうし。あのときはすごく意識していました。やっぱり自分もドライバーだったので、どうしたほうがいいかというのは知っていますし、こういう立場なので、自分のやるべきことは何なんだろうなというのを常に考えていましたね」と振り返った。

 スタート直前の緊迫感のなかでドライバーたちに安心感を与えられたことが、レースでの快進撃につながった。そしてこの決勝でのハイライトは、レース終盤に訪れる。

 それまで後続を圧倒する走りを見せていた25号車(VivaC 86 MC)だったが、終盤になって燃料ポンプのトラブルが発生。ガス欠のような症状が出てペースが上がらず、特に最終ラップは大幅にペースダウンとなってしまう。その結果、ナンバー61のSUBARU BRZ R&D SPORTに背後まで迫られることに。それでも最後までトップは譲らず、0.091秒差の"ハナ差"でフィニッシュとなった。

 ただ、ここで出たトラブルは、レース前の段階から想定していたという。事前対策をしっかりと取っていたからこそ、最後まで逃げ切ることができたと土屋監督は語る。

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