ザウバー・ホンダ誕生の事情。両陣営が抱える「メリット&デメリット」 (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

「この選択肢を選んだ理由は、ホンダと関係を構築することによって、さまざまなチャンスが開けると期待できるからです。ザウバーにとってはフェラーリとの関係を解消し、ホンダとの関係を始めることはとてもいい動きだと思っています」(カルテンボーン代表)

 つまり、どんなにパワーユニットの性能が低かろうと、有償の型落ちで走っている現在に比べれば失うものなどない。ザウバーにとって「デメリットなどひとつもない」というのは、本音だろう。

 一方、ホンダにとってはどうか。まず、データ収集という点でメリットがある。

「4台走るほうが2台よりも当然、多くのデータを収集することができますし、エンジンやハイブリッドシステムについてのフィードバックが増え、開発に生かすことができます」(ホンダ広報担当者)

 供給先が2チームあれば、単純にデータ量も2倍になり、開発を加速させられる。今年の開幕前テストでは車体側のトラブルでほとんど走ることができず、マッピングなどの熟成が不十分なまま開幕を迎えざるを得なかったが、このような場合にも作業が滞ることがなくなる。加えて、起きている事象が車体の問題なのかパワーユニットの問題なのかがはっきりするという利点もあるだろう。さらに、車体性能の比較も明確にできる。

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