ザウバー・ホンダ誕生の事情。両陣営が抱える「メリット&デメリット」 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

「現在の複雑な規定下では、パワーユニットメーカーが問題を抱えてしまうことはよくあることですが、どのメーカーもそういう過程を経て、いずれは問題を解決してきました。我々が提携するフェラーリだってそうでした。2014年はかなり苦労をしましたが、2015年に向けてすばらしい仕事をして問題を解決してきたんです。そこに到達するまでに、フェラーリだってものすごく長い時間がかかったんです。ホンダにもそれができないという疑問は一切ありませんよ」

 しかし、ザウバーにとって何より大きいのは、金銭的なメリットだ。

 フェラーリからパワーユニットとギアボックス供給を受けるためには、年間20億円以上の予算が必要になる。それを少しでも削減するために今季は昨年型パワーユニットの使用を決断したが、各メーカーの最新型スペックの開発が進むシーズン中盤戦以降の苦戦は目に見えている。

 それに対して、ホンダからは最新型スペックの供給が受けられ、後述するホンダ側への見返りの交換条件として供給料は破格の安さだとされている。その分の資金を、現在は十分にできていないマシン開発に投じることができるのだ。

 ホンダの来季型パワーユニットの性能がどれほどのものになるかは未知数だが、型落ちのパワーユニットで戦う厳しさに比べれば、チームとしての飛躍のチャンスも見えてくるというわけだ。

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