ボッタスF1初優勝。最速フェラーリを抑えきったメルセデスの組織力 (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 ベッテルに対して3秒以上のギャップを維持したことで、先にピットインし、新品タイヤでプッシュして逆転する"アンダーカット"を仕掛けられる懸念はなくなった。最適とされる26周目から1周だけ長く引っ張ってボッタスはピットイン。これも、ピットアウトしたときに後ろのトラフィックに引っかからないよう計算してのことだ。

 しかし、ベッテルとフェラーリもこれであきらめたわけではない。今度は第2スティントを短くし、ボッタスよりも新しいタイヤで猛攻を仕掛けようというわけだ。タイヤ問題が解決したとはいえ、マシン特性としては依然としてメルセデスAMGがフェラーリよりもスーパーソフトを苦手としており、ペースが振るわないことも計算づくだ。

 今度はベッテルがジワジワとギャップを縮めてくるなか、ボッタスは38周目にフロントタイヤを激しくロックさせ、フラットスポットを作ってしまう。

 タイヤの一部だけが削られた(真円でない)状態で走行するため、クルマには振動が発生する。メルセデスAMGはセンサーが検知するその振動の数値を分析し、「非常にシビアなダメージを受けていて、レース終盤のパフォーマンスに影響を及ぼす可能性が高かった」(トト・ウォルフ/メルセデスAMGエグゼクティブディレクター)というが、それでも冷静に対処法をボッタスに指示した。

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