室屋義秀がエアレース2勝目。「王者の勝ち方」に次戦・千葉も期待大 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by red bull

 理由ははっきりしていた。

 室屋はラウンド・オブ・14、ラウンド・オブ・8までは(ときに、そのラウンドでのトップタイムを出すなどして)順調に勝ち上がってきても、ファイナル4になると決まってタイムを落としてしまうからだった。同じ日の3本目のフライトとなると、肉体的にも精神的にも疲労が蓄積し、コンディションが落ちてくるところもあっただろう。1本1本全力で飛べば飛ぶほど、余力はなくなる。

 また、レースの進行上、ラウンド・オブ・14からラウンド・オブ・8までの間は1時間ほどのインターバルがあるが、ラウンド・オブ・8からファイナル4は、ほぼ間を置かずに行なわれる。つまり、それだけエンジン温度が下がりにくくなる。

 しかも、チームスタッフが「ファイナル4慣れ」していないと、限られたわずかな時間の中で、手際よく準備をすることができない。こうなると、機体のポテンシャルをフルに発揮させることが難しくなってしまうのだ。

「自分としてはいいフライトができたと思っても、タイムを聞いて『あれっ?』という感じで、全体にセクタータイムが落ちてしまう」

 当時、室屋もそう話していたが、こうしたいくつかの要因が積み重なり、いつもファイナル4でタイムを落としていたのである。

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