ホンダと腹を割って話したアロンソ。
だが「鬼の走り」はまたも実らず

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 話し合いのなかでは「僕がなじられっぱなしですよ」と苦笑いする長谷川総責任者だが、むしろそうやって言いたいことを直接言い合えるほうが、メディアに向かって不満をたれ流すよりもずっと健全だ。それがわかっているから、一連の騒動の間もホンダは一切、チーム側やドライバーを批判するようなことは言ってこなかった。

 一度はほつれかけた糸だが、ようやくもう一度、固く結びつき始めている。

「ドライバーたちはもちろんあきらめていませんし、パワーがないとかドライバビリティが悪いとか文句を言うのも、『そこを直してくれればもっといい走りができるよ』というフィードバックでもあるわけです。優勝するパフォーマンスがないかぎり、そこについて厳しい議論がなされるのは当然のことです。だから(チーム提携解除やアロンソ離脱など)『即やめる』というような話にはしたくないんです」

 他車の自滅もあってQ2に進み、13番グリッドを得た予選後、アロンソはこう言った。

「明日はどんなチャンスだって掴んでやろうと思っている」

 まさにその言葉どおり、アロンソは雨まじりの決勝スタートからアグレッシブに攻めていった。

 1周目が終わるころには8位までポジションを上げた。そして2周目にランス・ストロール(ウイリアムズ)の車両を撤去するためのVSC(バーチャルセーフティカー)が提示されると、「この周に入るよ!」と自らピットに飛び込んで、いち早くドライタイヤに交換する攻めの戦略を採った。

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