現状はザウバーのちょっと上。開幕戦ではっきりしたF1ホンダの戦闘力 (5ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

アロンソの神業的なドライビングで一時は入賞圏内に迫るも......アロンソの神業的なドライビングで一時は入賞圏内に迫るも...... 長谷川総責任者も、神業的ドライビングだったと感嘆した。

「オコンに抜かれないようにしながらも、彼を1秒差以内にキープしてDRS(※)を使わせることで、逆にオコンがその後ろのヒュルケンベルグに抜かれないようにしていたんです。(タイヤのフレッシュな)ヒュルケンベルグが前に来てしまうと厳しいですから。それも燃費セーブをしながらですから、本当に神業的なドライビングですよね」

※DRS=Drag Reduction Systemの略。ドラッグ削減システム/ダウンフォース抑制システム。

 しかし、それも最後はサスペンションの破損で終わりを迎えた。

 実はマクラーレンはMCL32に大幅な軽量化を施しており、車重は最低重量728kgを大幅に下回っている。その分だけバラスト(重り)の搭載によってマシンバランスと重心を最適化でき、それ自体はいいことなのだが、MCL32の場合は組み上げて実際に車重を測ってみると想定以上に軽く、バラストが足りなくなるのではないかと懸念するほどだったという。

 こうした過度な軽量化が、このサスペンション破損に限らず、開幕前テストから頻発してきたハーネスのコネクタ不良やカーボンパイプのクラックなどといった問題を引き起こしているのではないか、という見方もある。

 いずれにしても、ドライバーたちはMCL32の問題に苦しみながらも、現状のポテンシャルを最大限に引き出してみせた。言い換えれば、マシンのポテンシャルを上げていくこと以外に前に進む方法はない。

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