現状はザウバーのちょっと上。開幕戦ではっきりしたF1ホンダの戦闘力 (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 それ以外にも、MCL32は多くの問題を抱えていた。

 シフトアップ時に、激しい金属音とともに引っかかりが生じる問題。そのたびに、ドライバーには思いっきり身体を打ちつけるような大きな衝撃が加わっていた。

 予選では、ストフェル・バンドーンの燃料ラインに空気が混入し、燃圧が下がる問題。一方、アロンソ車は中古のウルトラソフトでは最終コーナーを全開で走れず、全開付近で細かなスロットル操作をすることでターボ過給の異常な上昇を防ぐためにウェイストゲートバルブが開き、ラップの最後にはパワーを失っていた。

 決勝では、グリッドに就いたバンドーンのマシンに接続したコンピュータがデータを表示しないという問題で慌てたかと思えば、スタート早々にステアリング上の画面表示が「アウトラップ」のまま固まってしまい、リセットをかける際に間違った指示を出して別の機能をリセットさせてしまうという場面もあった。最終的には、電子制御系がエラー警告を発して自動的にMGU-H(※)からの発電をストップさせるという状況に陥り、ピットに戻ってマシン全体の電源を再起動しなければならなくなった。

※MGU-H=Motor Generator Unit-Heatの略。排気ガスから熱エネルギーを回生する装置。

 しかしながら、アロンソは後方にフォースインディアのエステバン・オコンとルノーのニコ・ヒュルケンベルグを1秒差で従え、50周もの距離を走り続けた。ストレートが遅いはずのMCL32を巧みに操り、メルセデスAMG製パワーユニットを積むフォースインディアを抑え続けたのだ。

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