F1ホンダのホンネ。真の問題は「信頼性じゃなく、コースで遅いこと」 (8ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 テスト走行の様子を見るかぎり、現場合わせでボディを切って冷却用排熱口を空けたり、バージボード(※)のフチを削って形状を改めたり、シェイクダウンの低速走行でも走行のたびにブレーキダクトから白煙を上げていたりと、MCL32は設計想定どおりに機能していない点が散見された。

※バージボード=ノーズの横やコクピットの横に取り付けられたエアロパーツ。

 バルセロナ合同テスト後のチーム内の総括では、パワーユニットの出力不足と振動だけでなく、車体側の「アンダーステア傾向とピーキーさ」という問題点が改めて確認されたと、チーム内部関係者は言う。イメージによって作られた先入観を取りのぞいて見えてきたそれが事実だとしたら、開幕戦オーストラリアGPでマクラーレン・ホンダは極めて厳しい現実に直面することになるだろう。

 車体面では空力のアップデートパッケージを開幕戦にぶっつけ本番で間に合わせるべく、急ピッチで開発・製造が進められている。ただ、パワーユニットの熟成作業も進められているとはいえ、トップとの2.7秒差、中団グループ最後尾との1秒差が今すぐに埋まるとは考えにくい。

 だからこそマクラーレン・ホンダの首脳陣たちは、開幕戦オーストラリアで惨敗を喫したときにすべての批判の目がホンダへと向かうよう、さまざまなネガティブキャンペーンを打ったのだろう。彼らとて目の前の結果が求められる雇われの身であり、チームの成功よりも自らの保身のほうが大切だからだ。

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