F1ホンダのホンネ。真の問題は「信頼性じゃなく、コースで遅いこと」 (5ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 ただ、2010年以前から基礎研究開発を続けてきたメルセデスAMGでさえ2015年後半、フェラーリは2016年、ルノーは2016年後半になってようやく実戦投入に辿り着いた技術は、我々が想像するほど簡単に確立できるものではない。昨年2月末にF1総責任者のポジションに就き、そこから開発体制と開発コンセプトを見直さなければならなかった長谷川には、10ヵ月という時間しか残されていなかった。

「RA617Hは去年の5月から開発をスタートしたばかりで、この新しいコンセプトのエンジンにはまだ1年もかけられていません。去年までの延長線上で戦っても、それ以上大きく伸びる可能性はありませんでしたから、まったくの白紙から再設計をしましたし、そういう選択をせざるを得ない状況だったわけです。技術軸で整理すれば、『こっちしかないよね』という状況でしたし、それに対する疑問は誰も持っていませんでしたね。ただ、『本当に間に合うのか?』『できるのか?』ということが問題でした」

 そんな時間との闘い、新技術との戦いのなかで、2017年開幕のときを迎えた。

 現状のRA617Hは、伸びるための技術は手に入れたものの、まだそれを使いこなす段階には至っていない。未完成のままの開幕だ。

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