「猛獣だね」とドライバーたちが絶賛する史上最速F1マシンの凶暴度 (6ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 前走車に着きすぎてグリップを失った場合、これまではタイヤが滑ってオーバーヒートすることでグリップが落ち、回復までにしばらくの時間が必要であったり、最悪の場合はそれでタイヤがダメになってしまったりしていた。それが、ドライバーたちがバトルに消極的だった理由のひとつでもあった。

 しかし、今年はタイヤの特性が変わったことで、この現象も変わる。ピレリのレーシングマネージャー、マリオ・イゾラはこう説明する。

「今年のタイヤはグリップを取り戻すのも早くなっているし、たとえば前走車の後ろを走っていてグリップを失ってスライドしてしまったとしても、表面はオーバーヒートすることなく、数コーナーも走ればふたたびもとのグリップレベルを取り戻すことができる。これまではタイヤのコンディションを整えるために、1周くらいはクルージングしなければならないこともあったけど、このタイヤではそんなことは必要ない。だから、ドライバーたちは攻めて走りやすくなるはずだ」

 また、FIAは今年からペナルティを緩和する方針を打ち出しており、明らかにどちらかのドライバーに非がある場合でもなければ、多少の接触は不問に付されるという。昨年マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が幾度となく見せたような激しいバトルや、ニコ・ロズベルグ(前メルセデスAMG)がペナルティを受けたドイツGPやマレーシアGPのバトルも、今年はむしろ奨励されることになりそうだ。それだけドライバーたちは自由にバトルを楽しむことができるようになる。

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