「今年もダメ」説に反論。
テストでF1ホンダに起きたトラブルの真相

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 長谷川総責任者はむしろ、ファンや周囲に漂う悲観的なムードは意外だという様子だった。

「予定していたプログラムはおおむねこなすことができましたし、取り戻せたと思います。ロングランとか耐久性確認はできていませんけど、クルマの基本的な確認作業やセッティングといったようなテストプランは相当できましたからね。正直言うと、たかだかテスト2日でちょっとトラブルがあったくらいで、みんなちょっと騒ぎすぎなんじゃないかと思うんですよね(苦笑)」

 メルセデスAMGやフェラーリが順調に走行距離を伸ばしたのに対し、ホンダとルノーにはトラブルが出た。これは、この2メーカーが大幅な設計刷新をしてきたからに他ならない。守りに入らず攻めた結果なのだ。信頼性を確保するのは容易だが、もともとない性能を上げることは容易ではない。それがF1界の原則だ。

「去年のパワーユニットをマイナーチェンジしていくっていう選択肢もあったとは思いますけど、それでは1ステップ上に行けないわけですから、イチからすべてを見直してやり直して今シーズンに臨んでいるわけです。その結果が今の状況で、守りよりも攻めの姿勢で臨んだことによって多少のトラブルは仕方ないかなと思いますし、(攻めの姿勢で臨んだからこそと)僕は前向きにとらえています」

6 / 8

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る