「今年もダメ」説に反論。
テストでF1ホンダに起きたトラブルの真相

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 ホンダの長谷川祐介F1総責任者はこう説明する。

「オイルタンクは内部の形状とかバッフルが命ですから、そういうところがうまくバランスが取れていないと横Gや縦Gの影響でどこかに(オイルが)溜まってしまって、うまく吸い取れないという問題が起きるんです。ちょっとした改修でできることだったんですけど、本当に大した問題じゃないんですよ(苦笑)。どんなエンジンでもよくあることだし(パワーユニットそのものに関わる)根源的な問題ではないんですけど、直そうと思ったらパワーユニットをマシンから降ろさないといけませんから、時間がかかってしまいますね......」

 攻めた設計刷新を図ったため、オイルタンクも一般的な縦長の筒型ではなく、中央部にマウントしたターボのコンプレッサーを避けるように「Ω字型」をしている。それだけにその対策は十分に考慮されていたが、末端のポンプ吸入口あたりに単純なミスがあったのだという。

 完全な新車であり、パワーユニット側もレイアウトを一新していることもあり、交換作業を担当するマクラーレン側のメカニックもまだ不慣れ。さらには、テストデータ収集のための何十本というセンサーの配線もある。6時間以上を要する大作業となってしまったのは、そのためだった。

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