エアレース開幕戦は惨敗でも、室屋義秀が「次は期待して」と言えるわけ (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by red bull

 ところが、である。フィニッシュ直後に、このフライトがアンダーレビュー(判定確認中)であることが告げられた。ほどなくして下された判定は、DNF(ゴールせず)。フィニッシュゲートに入る直前の大きな水平ターンで、室屋は10Gの荷重制限を超える規定違反のオーバーGを犯していたのだ。

 レースを終え、天を仰ぐ室屋 レースを終え、天を仰ぐ室屋 結局、室屋の今季開幕戦はラウンド・オブ・14敗退。最終順位は13位に終わった。

 レース当日の朝、冷却システムの再調整を終えた機体に乗り込んだ室屋は、5分ほどのテストフライトでエンジンの調子が回復していることを確認できた。だが、その回復がどの程度のものなのかまでは分からない。だから、「どれだけスピードが出ているかは分からないので、目一杯攻めるしかなかった」。
 
 その結果、「思った以上にスピードが上がっていて、しかも完璧に飛べていたので、それがオーバーGを引き起こしてしまった」のである。「昨日までなら起こるはずのないところで起きたオーバーG」だった。

 結果論を承知で言えば、タイムはラウンド・オブ・14を勝ち上がるのに十分すぎるものだっただけに、最後の水平ターンは無理をしなくてもよかった。仮にオーバーGを避けるため、1、2秒タイムが落ちたところで問題はないほどのフライトだった。

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