小林可夢偉が語る今季。WEC王座争いは「あれ? いける?」って感じ (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 豪華なパーティで表彰されても、可夢偉は1年を振り返って感慨にふけるような気持ちにはならなかった。勝者にならなければ意味がないということを、嫌というほど痛感させられたからだ。

「3位やったからね。下位カテゴリーはチャンピオンしか表彰されなくて、WECあたりからは3位まで表彰されるんですけど、扱いが『はい出て、はい戻って!』みたいな感じやったし、テーブルも2位・3位は同じテーブルで、チャンピオンだけがメインのテーブルに座れるんです。僕らは"冷やかし"みたいなもんです」

 そう言って可夢偉は苦笑いした。

 ウィーンから日本に飛んで帰り、翌日には筑波サーキットでスーパーフォーミュラのステアリングを握り、昨年に続いてコースレコードを更新するタイムアタックに挑戦してファンを大いに沸かせた。その翌日、可夢偉はさすがに疲れた様子で、少し時間に遅れて待ち合わせの場所へと現れた。

 まさに、可夢偉の2016年を象徴するかのような数日間だった。日本では全7戦のスーパーフォーミュラに参戦しながら、全9戦のWECに参戦して世界各地を飛び回ってきた。

 WECでは地元・富士スピードウェイで巧みなタイヤマネージメントを見せ、ポルシェ優勢のなかで勝利を掴み獲る立役者となった。そして、最終戦までタイトル争いを繰り広げてみせた。

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