マクラーレンとの関係を変えたF1ホンダ長谷川祐介のチーム改革 (2ページ目)
長谷川はいつも飾り気のない言葉で、ストレートにものを言う。技術者らしく論理的に「できることはできる」「できないものはできない」と言う。レース屋らしく「いいものはいい」「よくないものはよくない」と言い切る。だから彼の言葉には、誰もが信頼を寄せる。
そこには、現場のエンジニアとして戦っていた長谷川自身が第3期のF1活動で感じた疑問やもどかしさが生かされている。
「当時は(トップに立つ今とは違い)僕はそういう立場じゃなかったから、言いたくても言えなかったり、言っても聞いてもらえなかったり。問題がどこにあるのか、それが組織として正しく伝わらないのが当時の問題でした」
しかし、長谷川が現場から総責任者へと就任し、当時現場でともに汗を流していたスタッフが今も現場にいる。開発部門もサーキットの運営部門も、お互いよく知っている間柄だからこそ、役職上の上下など関係なくフランクな話し合いができる。
さらに、第3期当時は車体を担当するイギリス側と、エンジンを担当する日本側でお互いに自分たちの非を認めず、責任をなすりつけ合うような隔たりがあった。それは今のマクラーレンとホンダでも同じように起こりうることだが、長谷川のように誰もが言うべきことを言えれば、そんな問題は起きないだろう。
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