「F1界最強」アロンソ&バトンは
マクラーレン・ホンダを救ったか?

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 特に予選で一発のタイムを出すのに苦労し、対アロンソでは15対5で大きく負け越した。Q3進出はわずかに4回しかなく(アロンソは8回)、下位グリッドからでは集団に飲み込まれ、満足なレースを戦うことも難しい。

 世界中を飛び回る忙しさが続いてきたなかで、バトンは家族や友人と過ごす休養が必要だと感じ、最終的にはF1を去り、第二の人生を考えるようになっていた。

「2017年に必要なのは、楽しむことだよ。もちろんF1でもっと勝ちたいし、タイトルも獲りたいとは思うけど、今までに自分が達成してきたことにはとても満足しているし、今はさらに一歩前に進むべきときだと思う。これからは自分のために楽しむためにレースをしたいんだ。だから、2017年はアメリカのラリークロスに参戦したり、何かテストをしたり、スーパーGTの鈴鹿1000kmはやるかもしれないけど、どんなカテゴリーであれ、フルに戦うことはないだろう」

 2016年のバトンは、コクピットでステアリングと格闘しているときには引退のことなど微塵も考えないとは言うものの、彼の目はもう新たなステージへと向けられていた。

「F1はとても楽しかったし、とてもつらいこともあった。だけど、マクラーレンのような素晴らしいチームで戦ってくることができたのはとても素晴らしかったし、僕は全力を尽くしてきた。これからは別の場所で全力を尽くすことにするよ。僕は自分の人生にとても満足している。これまでに達成してきたことにもね。あとは、これからの人生で何を成し遂げるかだよ」

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