「F1界最強」アロンソ&バトンは
マクラーレン・ホンダを救ったか?

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 加えて、彼の発する言葉には重みがあるがゆえに、メディアもさまざまな意見を彼に求めるが、なかには真実ではなく、チーム内での影響力を考えた発言もあるとの声も聞こえてくる。確かに、意図的にホンダのパワー不足が低迷の原因だと印象づけるような発言をしたり、シーズン終盤には一転してマシン批判をしたりといったところもあった。ヨーロッパのあるF1関係者は語る。

「彼の発言がすべて真実だとは思わないほうがいい。フェラーリにいたころから、彼はチーム内の体制や人事などに影響力を持とうとする政治的な動きが過ぎる。それが彼にとってうまく働く場合もあるだろうが、それを快(こころよ)く思わない人間もいるし、フェラーリでは結果的にチーム内をかき乱すだけになっていた」

 少なくとも今のマクラーレン・ホンダでは、政治的な駆け引きよりも大切なことがあるはずだ。

 一方、バトンは昨年9月の時点で2017年の休養を決め、11月には「これが最後のレースだと思って戦う」と、事実上のF1引退宣言をした。

「マシンがグリップしない。コーナーの入口はアンダーステアで、出口はオーバーステアだ」

 グリップしないからタイヤに負荷がかけられず、滑って表面だけがオーバーヒートする。だからタイヤの芯に熱が入らず、余計に滑りグリップしない。そんな状況下では、バトンの持ち味である"ジェントルドライブ"は鳴りを潜め、今季のバトンは負のスパイラルに入っていた。

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