F1ホンダ、今季のダメ出し。「3強の後ろ」という見通しの甘さに喝! (5ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 具体的にどんな技術かということはまだ申し上げられませんけど、世間で言われているような新技術はすべて実際に研究検討しました。5月の連休明けには、『2017年用の開発を中心にして、そこから使えるものを2016年型に投入しようよ』という話もしたんですが、さすがにそれはとても間に合わないという判断に至りました」(長谷川総責任者)

 一方で、パワーユニットの性能が伸びるに従って、シーズン中盤以降は車体面のネガティブ要素も目に見えるようになってきた。

 MP4-31は空力的に不安定で、ごく限られたコース特性やコンディションのもとでしか想定どおりの空力性能を発揮できない。結果、鈴鹿のようにさまざまな速度域での空力性能とパワーのすべてが求められるサーキットでは、大苦戦を強いられることとなってしまったのだ。

 その原因となったのは、マクラーレンが誇るシミュレーション技術の不正確さだ。

 50%スケールの模型に風を当てる風洞実験でも、CAD設計データを使ってコンピュータで気流をシミュレーションするCFD(電子風洞)でも、優れたダウンフォース数値が出ているのに、いざ実際にコースを走ると、そのとおりにならない。マシンが安定せずグリップ感がないから、スロットルペダルを踏めない。結果、コーナーもストレートも遅いマシンが出来上がってしまう。

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