今季のF1ホンダを再検証。開発目標が低すぎてライバルに追いつけず (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 鈴鹿翌戦のアメリカGPからフリー走行で確認のためのさまざまなデータ収集作業が始まり、それは最終戦アブダビGPでも続いていた。ジェンソン・バトンのマシンには360度撮影が可能なカメラを搭載し、マシンの各部がシミュレーションと異なる動作をしていないかという情報収集も行なわれた。裏返せば、アメリカGPからの4戦をかけて調査をしてもまだ結論が見えないほど、マクラーレン・ホンダは自分たちの真の姿が見えない状態で走り続けてきたということにもなる。

 予算の少ないフォースインディアやウイリアムズ、トロロッソは、シーズン折り返し地点のドイツGPよりも以前に今季型マシンの開発を終了し、後半戦は"ありもの"のマシンから性能を引き出しながら戦っていた。それに対し、マクラーレン・ホンダは最終戦まで毎戦のようにフロントウイングにフロアにと、さまざまな改良パーツを持ち込んできていた。それでも、彼らに追いつくことはできなかった。

 幸いなことに、アブダビGPのヤス・マリーナ・サーキットにはMP4-31が"苦手"とする高速コーナーはひとつしかない。長いストレートは2本あるものの、サーキット全体の全開率は45%ほどでそれほど高くはなく、シーズン中に進化したRA616Hの性能ならば大きな不利にはならなかった。フェルナンド・アロンソはQ3に進出し、予選9位。しかし、やはりフォースインディアには及ばず、ウイリアムズを食うのがやっとだった。決勝でもそれは変わらず、最後はタイヤの性能低下に苦しむセルジオ・ペレス(フォースインディア)に追いついたものの、抜くことはできず10位に終わった。

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