佐藤琢磨がホンダの強豪チームに移籍。インディ2勝目がグッと近づく (2ページ目)

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano  松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 ただし強豪といっても、2016年、アンドレッティ・オートスポートは1勝しか記録できていない。その勝利がシリーズ最大のレース=インディ500という値千金のものだったとはいえ、常勝チームを目指すオーナーのマイケル・アンドレッティは、不振から脱出するためにシーズン終了後に体制の刷新に取りかかった。

 最初に行なったのがエンジニアリング部門の強化で、ライバルのチップ・ガナッシ・レーシングで重要なポジションにあったエンジニアを、テクニカル・ディレクターとして招聘した。他にも優秀なエンジニアを獲得し、ドライバー・ラインナップにはセッティング能力の高さで定評のある琢磨を加えることにしたのだ。

 アンドレッティ・オートスポートといえば、4台を走らせることで豊富なデータを集め、戦闘力を高めるシステムを最初に完成させたチーム。もちろん2017年も彼らは4カー体制を敷く。

 琢磨のチームメイトになるのは、2012年チャンピオンで2014年インディ500ウィナーのライアン・ハンター-レイ、2016年インディ500ウィナーのアレクサンダー・ロッシ、そして、マイケルの息子でキャリア2勝のマルコ・アンドレッティで、いずれもアメリカ人ドライバーだ。彼らと琢磨は力を合わせ、強豪チームの復活を目指す。
 
 だが、その目標達成はそう簡単ではないだろう。2015年からのルールで始まったシボレーとホンダによる空力競争(エンジン以外に空力パーツもそれぞれのメーカーが開発する)で、シボレーが優勢を保っているからだ。2015年は16戦10勝、2016年は16戦14勝と、シボレーの空力での優位は明らか。ホンダ勢は、超高速のオーバルコース以外では、非常に厳しい立場に置かれ続けている。

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