今季MotoGPで9人も優勝者が出た「理由その1」と「理由その2」 (3ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 今シーズンから、エンジンや車体の電子制御を行なうECUソフトウェアが、従来の各メーカー独自開発品から全車共通のものへと統一されたことで、メーカー間のソフトウェアレベルでの実力差が平準化され、接近した戦いを生むことになった。昨年からMotoGPへ復帰したスズキは、2015年は最高順位が6位だったが、今年はマーベリック・ビニャーレス(チーム・スズキ・エクスター)が第12戦・イギリスGPでの優勝を含む4戦で表彰台に上がり、ビニャーレス自身も年間ランキング4位でシーズンを終えた。

 チームマネージャーのダビデ・ブリビオは、「復帰して以来、電子制御はライバルたちに追いつくのに特に苦戦していた技術分野だったので、我々はもっともルールチェンジの恩恵を受けた陣営のひとつだと思う」と、その効用を率直に認めている。ブリビオはまた、「タイヤが今年からミシュランへ変更になったことも、我々にはポジティブに作用した」とも話している。

 MotoGPの公式タイヤサプライヤーが昨年までのブリヂストンからミシュランに切り替わったことにより、各陣営はデータ蓄積の優劣がなくなり、タイヤ特性を効果的に引き出すバイク作り(≒セットアップの探求)という面で、ほぼ同一条件になった。

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