ジェンソン・バトン引退。ヘルメットに刻んだキャリア17年間の想い (5ページ目)
そのヘルメットの余白には、こんな言葉が刻まれていた。
『The journey is the reward』(この旅路こそが報酬)
多くの夢とともにF1の世界に飛び込み、いくつもの成功も失敗も経験してきた。しかし、最後は辿り着いた場所がどこかではなく、その道のりにこそ価値がある。
それはつまり、彼が人生において大切なものを見つけたということだ。
「最後のチェッカードフラッグを受けたとき、最初に胸に去来するのは家族のことだと思う。モータースポーツは僕の人生の大部分だったし、大切なものだ。だけど、人生でもっとも大切なのは家族や友人だからね。間違いなく、僕は幸せな形でF1の世界から退く。そしてここから、僕の人生が始まるんだ」
そう言って彼は、家族や友人たちとともにサーキットを後にしていった。
おそらくきっと、彼が本気でステアリングを握るのは、今週末の日曜が最後になるのだろう。
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