ジェンソン・バトン引退。ヘルメットに刻んだキャリア17年間の想い (5ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 そのヘルメットの余白には、こんな言葉が刻まれていた。

『The journey is the reward』(この旅路こそが報酬)

 多くの夢とともにF1の世界に飛び込み、いくつもの成功も失敗も経験してきた。しかし、最後は辿り着いた場所がどこかではなく、その道のりにこそ価値がある。

 それはつまり、彼が人生において大切なものを見つけたということだ。

「最後のチェッカードフラッグを受けたとき、最初に胸に去来するのは家族のことだと思う。モータースポーツは僕の人生の大部分だったし、大切なものだ。だけど、人生でもっとも大切なのは家族や友人だからね。間違いなく、僕は幸せな形でF1の世界から退く。そしてここから、僕の人生が始まるんだ」

 そう言って彼は、家族や友人たちとともにサーキットを後にしていった。

 おそらくきっと、彼が本気でステアリングを握るのは、今週末の日曜が最後になるのだろう。

■モータースポーツ 記事一覧>>

5 / 5

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る