総帥ロン・デニスを解任。マクラーレン・ホンダ「お家騒動」の闇に迫る (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 このお家騒動の真っ只中で行なわれたブラジルGPには、もちろんデニスの姿はなかった。デニスがフォルクスワーゲンのWRCプログラムから引き抜き、ようやく9月に『マクラーレン・レーシング』、つまりF1チームのCEOに就任したばかりのヨースト・カピートも姿を見せなかった。レーシングディレクターのエリック・ブリエが現場の指揮を執り、「我々はこの噂に対しては一切コメントしない」とノーコメントの立場を貫いた。

 デニスは25%の株主と、『マクラーレン・オートモーティブ』の11%の株主、そして会長としての立場は残る。しかし、外堀はオジェとマムタラカトによって埋められており、実質的な権限は何も残っていない。デニスが去った今、彼が連れてきたカピートやブリエの立場も微妙なものになってきている。

 9月にチームに合流したカピートは、ブリエのようにチームの前面に立つことも、メディアへ露出することもなく、チームに帯同して「チーム内のことを観察し、学んでいるところ」という姿勢を取ってきた。フォルクスワーゲンで彼が見せた手腕はまだ発揮されておらず、彼がどういった立場でチームをどう変えていこうとしているのかはまだ見えてこないと、チーム内で疑問視する声も出始めている。

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