総帥ロン・デニスを解任。マクラーレン・ホンダ「お家騒動」の闇に迫る (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 マクラーレンのように1000人を超えるような巨大な組織を動かしていくためには、圧倒的な指導力も必要だ。しかしデニスの感性は、もはや現代のF1に合ってはいなかった。総帥がトラブルの起きた箇所をのぞき込んで、メカニックに指示を出すような時代ではない。フリー走行で目先の順位や走行プログラムの技術内容に、とやかく口を出すような時代でもない。

 しかし、デニスの言うことが見当違いだとわかっていても、スタッフが反論することを許されるようなチームではない。誰もが彼の顔色をうかがいながら作業を進めなければならなかった。

 そんなデニスを、ともにマクラーレンを育ててきた盟友であり、株式の25%を保有するTAGグループの総帥マンスール・オジェと、残る50%を保有するバーレーン政府投資ファンド『マムタラカト』は見限ったのだ。

『マクラーレン・テクノロジー・グループ』の会長兼CEOという役職は、同社の取締役会からデニスに与えられたものにすぎず、取締役会は2017年1月の契約終了をもって延長しないことを決めた。これに対してデニスは、中国系の投資ファンドを味方につけ、その資金で株式の持ち株比率を上げて『マクラーレン・テクノロジー・グループ』を手中に収めようとしたと噂されるが、この事態を重く見た取締役会が先手を打って11月15日に彼を解任したというわけだ。

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